2011年5月6日金曜日

「企業の社会的責任」の意味を考える


先週末から今週にかけてドイツとオランダの育種農場を廻ってきました。毎年この時期はヨーロッパの育種農場を廻り、現在の育種の状況や、来シーズンに向けての新品種のチェック、苗を供給してくれる農場の場合は親株の準備状況のチェックをします。

毎回訪問して思うのですが、この育種農場の方々は本当に育種に対して熱い思いを持っています。ただ単に育種で飯を食べているというのではなく、本当に花が好きで、消費者の事を考えていて、社会に対して花を通して寄与したい思いに溢れています。この方々と話をしていて商売の話をする事はほとんどありません。

弊社はどちらかというと、大企業と付合うよりも、家族経営でも大手企業と対等に渡り歩いている会社と付合う様にしています。欧米の園芸業界の移り変わりや、その中での競争は、日本に比べると大変ドラマチックです。その中において、この家族経営の育種農場の方々は、見事に勝ち残っています。その理由は彼らの理念にあると思います。

皆さんよくご存知の「三方よし」という有名な近江商人の言葉があります。ちょっとネットで検索すればすぐに見つかるのですが、「三方よし」という滋賀県産業支援プラザのサイトがあります。そのサイトの中で、実践女子大学の犬塚教授が次の様な事をおっしゃっておられます。

「従来の、企業の社会貢献やフィランソロピーphilanthropyのような、企業が本業(事業活動)とは別に、その余剰(利益や組織力)をもって社会のためになることをしよう、ということではなく、事業活動(ビジネス)の中核に、社会をよりよくすることを組み込んでゆこうとすることです。ビジネスはビジネス、余ったお金の使い方はまた別、というのではなくて、企業の存在そのものが社会のためによいこと《good business》であるようにしようとする経営原理です。」

弊社では、率先的に「社会の為にお金を使おう」としています。それは消費税を払うのと同じ様に、社会人として当たり前な行動であると考えています。第三者から「どんなに寄付をしても、会社の経営が危うくなってしまったら元も子もないのではないか?」と言われた事が何度かあります。しかし、事実は、私たちは社会に生かされているのであり、社会をより良くする努力をせずに私たちが生きることはできないのです。

「社会貢献」というのは大企業でなければできない事ではありません。中小企業でもできる事ですし、個人でもできる事です。今回の東北震災支援の為に大企業が億単位の寄付をする事と、個人が何かしらの支援物を寄付する事は同じレベルの貢献だと思います。「社会の為に」、「人の為に」という気持ちが廻り廻って自分も生かされているのだと思います。

2 件のコメント:

  1. とおりすがりです。
    とても共感しました。
    犬塚先生は、greensophiaというサイトで環境教育もされている人ですね。
    力づけられました。おたがいがんばりましょう。

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  2. コメントありがとうございます。

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